シャドーボックス制作シリーズ

02 · シャドーボックスの構図:モデリング前に、奥行きのある場面を考える

3Dプリントのシャドーボックスを作る前に、雰囲気、視線の集め方、重なり、細部の省略を考えます。カビゴンなどの作品と2枚の構図図解で、配置の選び方を紹介します。

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目を閉じたカビゴンがリンゴの木にもたれるシャドーボックス作品。頭上に重なった葉があり、地面にはリンゴと食べ残した芯が置かれている
カビゴンの果樹園。木にもたれる姿、頭上のリンゴ、地面の芯が、食後のひと休みを感じさせます。

キャラクターが一体、木が一本、リンゴがいくつか。これでどんなシャドーボックスが作れるでしょうか。

私のカビゴンの作品を見ると、目を閉じたカビゴンがリンゴの木にもたれ、そばにリンゴと芯が置かれています。一つずつなら普通の要素ですが、組み合わせると、たくさん食べたあとに何もしたくなくなる、あの時間が浮かんできます。

カビゴンをまっすぐに置き、木とリンゴを周囲に整然と並べたら、同じ要素でも印象は変わります。構図で考えるのは、こうした位置、大きさ、要素どうしの関係です。

第1回では、層を重ねた立体アートの魅力を紹介しました。今回はモデリングソフトを少し脇に置いて、アイデアを奥行きのある画面に整理してみます。3Dプリントのシャドーボックスをどのツールで作る場合にも役立つ工程です。

まず、その場面でどんな気分を伝えたいか

「カビゴンを作りたい」から、もう少し具体的に考えられます。寝ているのか、食べているのか、それとも道をふさいでいるのか。選ぶ場面によって、姿勢も背景も変わります。

私は「お腹いっぱいのカビゴンが、リンゴの木にもたれて休んでいる」のように、具体的な一文にするほうが考えやすいです。力の抜けた体、閉じた目、寄りかかれる幹、地面に残った芯。描けるものが見えてきて、背景を選ぶ理由もできます。

同じ木の下の休憩でも、とがった枝や斜めの線を詰め込むと、落ち着いた感じは出しにくそうです。広い葉のまとまり、丸みのある開口部、体の横に少し残した空間のほうが、このテーマには合います。外枠の輪郭も一緒に考えます。場面をどう囲み、どのくらいの広さから見せるかを決める部分だからです。

最初から長い設定を書く必要はありません。姿勢と環境が思い浮かぶ一文を書き、スケッチの横に置いておきます。要素を足すたびに、その一文と照らし合わせられます。

最初にどこを見てほしいか決める

最も明るい場所、大きな形、強い色の対比は、どれも視線を集めます。キャラクターが中央にいても、その周囲を確認する必要があります。

濃い紫の夜景に黒いブラッキーを配置したシャドーボックス。黄色い輪郭が層になって内側を囲み、外枠に月と星がある
ブラッキー:目立つ黄色い輪郭が内側へと狭まり、濃い紫の開口部でキャラクターを囲んでいます。 モデルの詳細を見る。

ブラッキーの夜景では、黄色い輪郭が目に入りやすくなっています。輪郭を内側へたどると、中央に耳、赤い目、黄色い模様が見えてきます。外枠の月が夜を示し、キャラクターの周囲にある暗い部分がシルエットを見やすくしています。

星を大きくしたり、背景の明るい形を顔のすぐ横に寄せたりすると、視線があちこちへ動くかもしれません。一つずつはきれいな飾りでも、一緒に置いてうまくまとまるとは限りません。

最初のスケッチでは、キャラクターを置いて、主な背景の形を一つか二つだけ加えるのがおすすめです。画像を小さくしても主役をすぐ見つけられるか確認し、そのあと月、果物、水草などを足していきます。空白を埋めることを急がなくて大丈夫です。

同じアイデアで、二つの配置を試す

カビゴンの果樹園を題材に、二つの構図図解を作りました。配置を比較するための図で、形はキャラクター、葉、果物の位置を表しています。

カビゴンの果樹園の構図図解A。キャラクターを中央に置き、葉と大きなリンゴを周囲に分散させ、目立つ形がいくつもある
案A:それぞれの要素を並べる。 キャラクターを中央に置き、葉とリンゴを周囲に配置しています。要素は見分けやすいものの、木とキャラクターの関係は弱めです。
カビゴンの果樹園の構図図解B。幹を左に、キャラクターを低い位置で幹の近くに置き、上に葉を広げて顔の周囲に空間を残す
案B:要素のつながりを作る。 幹は左、キャラクターは下寄りで幹にもたれ、葉は頭上に広がります。顔とお腹の周りに空間を残しています。

「リンゴの木の下で昼寝している場面」にしたいなら、私はBを選びます。寄りかかれる場所があり、葉も上から覆っているように見えます。顔の横に空間があるので、目を閉じた表情を読み取りやすくなります。リンゴが少しあれば果樹園だと分かるので、隅々まで飾る必要はありません。

Aは、好きなモチーフを一つの枠に集めた感じに近い配置です。いくつかの図柄を見せたい場合には、これも成立します。ここでBを選ぶのは、木とキャラクターの関係を伝えたいからです。

カビゴンの作品にも、似た配置が見つかります。幹を片側に置き、体を反対側へ広げ、葉が上を占め、リンゴと芯が下へ視線を誘います。構図の選択は、作品で伝えたいことを書いた一文に戻って考えます。

この段階では、位置を動かし、大きさを変えるだけで十分です。二枚のスケッチをきれいに仕上げる必要はありません。どちらが自分の考えに近いか分かれば、その先へ進めます。

前景・中景・背景の重なりを分かりやすくする

大まかな構図が決まったら、重なりを考えます。シャドーボックスの奥行きは、輪郭が出会う場所によく表れます。葉が別の葉を隠し、キャラクターが幹の一部を隠し、外枠近くの輪郭が背景に重なります。

まずは前景、キャラクターのいる中景、遠くの背景の三つに分けて、どうつながるかを確認します。実際に何層にするかは、その関係が整理できてから決められます。

濃い青の水中背景の前に水色のウパーを置いたシャドーボックス。左右の水草が内側を囲み、顔とピンクのえらがはっきり見える
ウパー:左右の水草が水中の空間を作りながら、中央の輪郭を見やすくしています。泡は上へ向かう流れを添えています。 モデルの詳細を見る。

ウパーの水中の場面では、濃い青の背景が後ろにあり、中央にウパー、その周囲を水草と外枠が囲んでいます。水草には高低があり、画面を多く使っていますが、顔と左右のピンクのえらははっきり見えます。

幅の広い水草を顔の前に横切らせると、キャラクターの見え方が途切れてしまいます。前景は体の端や下の一部に重ね、頭や特徴的な部分を見せる配置から試すとよさそうです。重なりを作りつつ、キャラクターを読み取れます。

輪郭どうしがちょうど触れる配置も、見づらくなることがあります。草の先端が耳の先端にぴったり接すると、一つの形につながって見えるかもしれません。少し離すか、片方をはっきり重ねるように調整すると、前後関係が分かりやすくなります。

別の層にするもの、一緒にできるもの

スケッチに要素が一つあるからといって、それぞれに一層必要とは限りません。まずは画面の中でどんな役割を持つか考えます。

幹をキャラクターの後ろに、地面の果物を前に置きたいなら、奥行きを分ける理由があります。二つの水草のまとまりを前後で重ねたい場合も、分けて考えるのがよさそうです。

反対に、同じ距離の葉や、同じ背景に散らした星は、まず一つの視覚的な層にまとめられます。それぞれに形や色があっても、一つずつ奥行きを増やす必要はありません。

「見た目で同じ層にあること」と「つながった一つの部品として印刷すること」は別に考えます。色をどう作るか、細部をどうつなぐか、部品を持って組み立てられるかは、モデリングと試し刷りで確認します。先に前後関係を整理すると、その後の部品分けも判断しやすくなります。

層をもう一つ足す前に、何を隠すのか、何を見せるのか、どの輪郭の奥行きを分かりやすくするのか考えます。役割がまだ決まらなければ、スケッチで試してみます。その層を外した画面と比べるのも役立ちます。

細部を省くときは、見分けるための特徴を残す

小さな枠に収めると、すべての細部が同じように見えるわけではありません。3Dプリントでは、厚さ、強度、つなぎ方の制約も加わります。

暗い開口部の中に、とがった耳、赤い目、白い笑顔のゲンガーを配置したシャドーボックス。手前や周囲には小さな白いおばけがいる
ゲンガー:赤い目、白い笑顔、とがった輪郭だけでも、おなじみの表情が伝わります。周囲のおばけが場面を補っています。 モデルの詳細を見る。

ゲンガーのとがった耳、体のまわりの角、赤い目、大きな白い笑顔は、見分けやすい部分です。月や小さなおばけがなくても、キャラクターにはすでに表情があります。

私はまずこうした輪郭や表情を残し、それから飾りを考えます。ウパーのえら、ブラッキーの耳と黄色い模様も、背景で押しつぶしたくない特徴です。主役が分かりにくくなったとき、背景を増やしても作品を伝えやすくするのは難しくなります。

背景は、主要な輪郭をいくつか残すところから始められます。果樹園なら幹と葉、水中なら長い水草、夜空なら月。葉の間の小さすぎる隙間をまとめ、細かな枝を減らすほうが、場面の特徴を読み取りやすくなることもあります。プレビューを小さくしながら、残す細部を選んでいきます。

印刷前には、スライサーでも輪郭を確認します。画面で描ける細い枝が、きちんと形になるか、十分丈夫か、つなぐ場所があるかは、印刷設定と試し刷りを合わせて判断する必要があります。

ソフトを開く前に、小さなスケッチを一枚仕上げる

初めてシャドーボックスを作るなら、こんな練習ができます。キャラクターを一体選び、どこで何をしているのか一文で書き、配置の違う二枚のスケッチを描きます。

最初はキャラクター、主要な背景の形を一つ、外枠だけで始めます。テーマに近い一枚を選び、前景・中景・背景を印してから、最後に少しだけ飾りを足します。こうすると、構図を直しているのか、単に物を増やしているのか分かりやすくなります。

私は次の四つを確認します。

  • 小さくしても主役をすぐ見つけられるか。
  • 背景と姿勢から、同じ場面を想像できるか。
  • 重なりが明確で、輪郭がちょうど接する場所がないか。
  • 各層には、その奥行きに置く理由があるか。

スケッチはまだきれいでなくても構いません。主役の位置、周囲のもの、どれがどれを隠すか、残すべき特徴が分かれば、モデリング中に何度も戻って確認する画面になります。

次の記事「03 · シャドーボックスの設計ソフトの選び方」では、輪郭を厚さのある組み立て可能な部品にするためのソフトを比較します。その前に、Shadowbox Pokémonコレクションから好きな作品を選び、大きな輪郭だけで描いてみるのもおすすめです。その作品の構図の工夫が、見つけやすくなります。

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